2021-10-01 煙の味 指先から煙草の匂いがした。さっきまで吸ってたラムコークの甘い匂い。初めて吸うもんだから、チキった僕は舌先に留める程度にしか煙を含まなかった。 オイルライターを弾いて銀紙を破く感触。父に、こんな日が来るとは、なんて微笑まれて、むず痒くなった。 二つだけ煙が燻って、混ざって上に消えてく。ごうごうなる音は果たして換気扇のせいか、あるいは外は嵐だからか。 そんなことどっちでも良いのだ。父の奢りの煙草に気分を良くして酔ってる若造なんて、音の正体がなんだろうと幸せなんだから。