サイネージと間接痛

他人の日記。こんばんは、ここはいつでも夜ですよ。

生温い風に似ている

 頭の中には、常に漠然とした後悔ばかりが巡っている。霧がかった明朝のように、人気のない不気味な街のように、ただ意識だけが澱んだ思考の中を一人歩きしている。
 後悔たちは、理想もないまま形の定まらない懺悔を求めている。その手が私に伸びることはないが、時折、誤って足首を掴まれることがある。そうなると私は、解けない糸の塊のような罪の意識に、後悔に、砂に足を取られたように滑り落ち、蟻地獄のように、空は見えているのに、決して這い上がれないような絶望にずぶずぶと嵌っていく。底には終わりがなく、手足を動かすほど泥濘に身が沈んでいく。
 暗闇に目が慣れ、絶望に愛着が湧き自分の一部だと錯覚した頃、彼らは唐突にその手を離す。宙に放られた意識は拠り所を失い、私は夢遊病患者のように現実を、不確かな足取りでただ一人彷徨い歩く。